Research

当研究室では,研究分野ごとにグループを構成して研究に取り組んでおり,2016年度は「イメージング班」,「センシング班」,「バイオエフェクト班」,「熱音響班」,「デバイス班」,「骨班」の6班に分かれています。幾分雑食気味ですが,電気電子工学,材料工学,生命医科学など幅広い分野を横断しながら「超音波」をキーワードに広い分野で,各種波動を利用したデバイス,計測技術について研究を行っています。現在,基礎研究から実用化を目指したテーマまで,様々な企業・大学と共同研究を行っているテーマも多く,研究相談等お声掛け頂けますと幸いです。

イメージング班

banner イメージング班では,超音波とその他の手法を組み合わせた,これまでにない生体イメージング技術を開発しています。例えば超音波と磁気共鳴画像(MRI)を組合せることにより,超音波のみでは得ることが困難な生体内音速分布を考慮した,より精密な超音波イメージングを行うことが可能となります。すなわちMRIによって事前に被験者の組織判別を行い,超音波像を構築する際にこれらを音速分布として補正することにより,より精密な超音波像を再現することができます。

センシング班

banner センシング班では,超音波や光を利用した各種センサ・計測技術の開発を行っています。例えば,血流によって生じる頸動脈皮膚表面上に発生する変位(脈波)を圧電センサで測定することにより,血管壁の硬さ評価を行っています。血管壁挙動に関する物理モデルによる数値計算,血管ファントムを用いたin vitro実験,被験者によるin vivo計測など,国内外の大学・病院と共同研究による様々な方面からのアプローチを行っています。これらの研究成果を活かし,将来的には動脈硬化性疾患を未然に防ぐことを目的とした,家庭内で使用可能な血管年齢評価装置の開発を目指しています。また超音波の放射力を利用した各種センサ・アクチュエータの開発を行っています。例えば音響放射力によって人間の眼の水晶体の様に自身の形状が変化して焦点距離を変化可能な光学レンズの様なアクチュエータや,超音波による非接触マニピュレーション技術の開発を行っており,バイオテクノロジー分野への応用を目指しています。その他河川流砂の粒径判別センサやブリュアン光散乱法による音速等の物性評価も行っています。

  • 超音波式可変焦点レンズ
  • 圧電センサを用いた頸動脈波の測定
  • 超音波による微小物体の非接触搬送
  • 超音波によるnematic液晶の分子配向制御
  • 掃流砂の粒径判別を目的とした圧電センサシステム

バイオエフェクト班

banner バイオエフェクト班では,主に超音波が生体に与える影響について検討を行っており,DNAなど分子レベルから細胞・組織までのマクロレベルまでマルチスケールでの評価を行っています。特に強力集束超音波による治療(HIFU)時に使用されるような超音波パルスによって生体内に発生するキャビテーションが,DNAや各種細胞に与えるダメージについて定量的評価を行っています。またマイクロバブルと超音波を組み合わせた局所的な薬剤投与法(超音波ドラッグデリバリシステム)の開発を行っており,バブルの作製技術の開発やその音響特性の評価,バブルの振動が細胞に与える影響について検討を行っています。

  • 超音波が赤血球に与える影響
  • 超音波ドラッグデリバリシステム用マイクロバブルの開発
  • 音響キャビテーション発生に伴うメダカ胚への影響

熱音響班

banner 熱音響班では,熱と音の相互エネルギー変換作用である熱音響現象を利用して冷却や発電を行う熱音響システムの実用化に向けた研究を行っています。熱音響システムは,排熱や太陽熱などを利用できること,エネルギー変換の過程でCO2などの温室効果ガスを排出しないこと,機械的可動部が存在しないため安価で長寿命であることなどの利点を有しており,地球環境保全に大きく貢献すると期待されています。現在実用化に向けて,エネルギー変換効率の向上や低温度駆動の実現を目指して,実験及び数値解析による検討を行っております。

  • Heat Phase Adjusterを用いた熱音響システムの制御
  • 同軸型熱音響冷凍機の開発
  • ループ管型熱音響システムにおけるPhase Adjuster設計
  • 気液二相流体を用いた熱音響システム

デバイス班

banner デバイス班では,ZnO(酸化亜鉛)などの圧電材料の薄膜・デバイス作製やその圧電特性の評価を行っています。特にチャンバー内雰囲気などのスパッタリング条件によってc軸を基板表面方向に配向させる成膜手法を開発しています。またこれらの成膜技術を応用した圧電デバイスの開発を行っており,円筒基板表面に周回表面波を励振可能な圧電薄膜を作製し,血液センサなどの医療デバイスへの応用を検討しています。

  • c軸平行配向ZnO膜によるSH-SAWを用いた液体の粘度・導電率測定
  • Brillouin散乱法を用いたc面ZnO単結晶の音響電気効果による緩和測定
  • RFマグネトロンスパッタにおけるc軸平行配向ZnO膜の高品質化

骨班

banner 骨の超音波計測に関する研究は,当研究室において大谷先生と当時博士課程学生の細川篤氏(現在明石高専)が,骨中を伝搬する超音波が高速波・低速波に分離することを発見して以来,世界の研究をリードしてきています。手首の骨(橈骨)中に超音波パルスを伝搬させると,皮質骨や海綿骨の骨梁を伝搬する高速波と,骨髄などその他の部分を伝搬する低速波の2波に分離して伝搬します。この2波を時間領域・周波数領域で解析することにより,骨密度や骨質などを定量的に評価する手法について検討しています。また,時間領域有限差分法(FDTD)による数値シミュレーションによる現象把握も行ってます。これらの研究成果を元に,産学連携によって応用電機(株)より超音波骨密度測定装置(LD-100)が開発され,骨密度計測技術発展の一助となっています。最近では超音波照射によって骨中に発生する誘発電位,すなわち骨の圧電性についても研究しており,これらの知見が今後超音波による骨折治療技術のメカニズム解明に繋がることを期待しています。

  • 超音波照射による骨の圧電特性の評価
  • FDTDによる骨中の超音波伝搬シミュレーション
  • Brillouin光散乱法による骨の局所的音速評価
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